実践報告
《ガイダンスカウンセラー実践インタビュー》
2 共愛学園中学高等学校 相談支援員
長岡 格子 先生【NEW】

共愛学園中学高等学校で教諭として教育相談部主任を7年間務められ、現在は相談室で相談支援員をされている長岡格子先生に、共愛学園中学高等学校での教育相談体制づくりについてインタビューさせていただきましたので、ご紹介したいと思います。〔インタビュー 2025年9月。取材・文は金子恵美子,撮影は渡辺芳生が行なった。〕
どのように教育相談体制づくりを進めてこられたのでしょうか?
40年前に教員の中で教育相談の素地を作ってくださった先生がいました。その当時、教育相談もそれほど一般的でなかったと思うのですが、教科準備室を借りて外部のカウンセラーの先生がみえていたのを私もおぼろげながら覚えていて、そこから始まっていますね。その当時は、生徒指導部の中の一部に教育相談係という形であったのですが、26年前に旧校舎から現在の校舎に移ったときに、その当時の校長先生が教育相談部を生徒指導部から独立させて、相談室も作りました。
現在も生徒指導部と関わりをもっていますが、教育相談部として主任をおいて、あと各学年に1人、中学校に1人、養護教諭、そしてスクールカウンセラーも予定が合えば会議に出る、そうした形で教育相談部でメンバーを確保できる体制ができました。
もともとキリスト教主義の学校なので、一人一人を大切に育てようという教育方針が根底にあるので、それが助けになっていると思いますね。聖書の言葉で、迷える子羊を1匹でも探しに行くという話がありますが、困っている人がいれば助けようという気持ちがある教員が多いので、それはすごく助かっていると思います。その後、校長先生は変わっていますが、基本的な方針は変わっていないです。
教育相談部の中身は主任に任されていたので、どのように活動したらよいか、いろいろ考えました。私は2代目で7年間務めましたが、その教育相談体制を作っていく始めの頃は、教育相談の素地を作ってくださった先生がスクールカウンセラーになって学校にみえることになり、とても助かりました。
主任としての活動は相談室での対応や、カウンセリング予約管理や関係者への連絡に加えて、「事例研究会」、不登校生の「保護者の集い」、「構成的グループエンカウンター」などを行いました。相談部での活動を理解してもらえるよう、苦心したのを覚えています。相談室で甘やかしているなどの誤解を受けないよう、まめに連絡して誠実に伝えようと心がけました。
現在の教育相談部の体制はどのようなものでしょうか?
教育相談部担当の教員が、高校では生徒の人数が多い普通科の進学コースでは学年に1人ずつ、英語科の進学コースにも1人います。特進コースは教員の人数が少ないので教育相談部担当はいませんが、コース主任に連絡を取る形で補うことになっています。中学校もクラス数が高校より少ないので、中学校として2人が教育相談部担当です。教育相談部の会議は、教育相談部主任と担当の先生方、養護教諭で基本的には行います。中学校、高校は一貫教育ではなく区切りはありますが、校舎がつながっていて、教科によっては両方担当している先生もいます。互いの施設を使っていたり、部活を一緒にしていたりするものもあって、関わりがあります。6年間、教育相談で関わる生徒もいて、そうすると、中学校では大変だったけれども高校ではこういうふうに成長しましたと、中学校の先生にお話しできたり、そういう成長を見られるのはありがたいですね。
生徒は自ら相談に来るのでしょうか?
そうですね。相談室の案内を入学後のオリエンテーションの時間に配って案内をします。クラスで相談申込みができるカードを配っていて、あとは保護者に案内もしています。
それから、担任の先生が一番身近なので、担任の先生が個人面談をやりましょうというのは昔からあります。学期に1回ずつは短時間でも面談の機会を入れようということがあり、教育相談部でも一人一人と少しでも話をしてくださいという呼びかけは常にしています。三者面談が夏休みの7月末にあるので、保護者の立場、子どもの立場の両方があって、そこで共有するのは大事なのですが、事前にその子がどうしたいかという聞き取りをしたいですね。
忙しい先生もいるので思うようにはできないですが、三者面談は全員の先生が必須でしますので、その前に個人面談をやっておこうと思うんですよね。そういう流れは全体にあります。話す機会を作れば、生徒も話したいと思っています。
さらに相談室に向けてくださる先生方が多いですね。20年以上教育相談部として独立してやっているので、先生方の理解があります。また、教育相談部主任が折にふれて耳にしたケースについて担任からの相談も受けますし、困っている生徒や先生がいるというのを察知すると、少しでも助けになりたいという気持ちで教育相談部主任から声をかけるという場合もあります。
今は結構な頻度で担任、コースの主任、学年主任から話題が出ますね。
そういう雰囲気や体制をどう作ってこられたのでしょうか?
最初は大変だったですし、今も場合によっては、何をやっているか中身が伝わらない、思うように進まないと少し疑問を感じる先生もいると思うのですが、それでも10年前くらいと比べると、法律ができたり、合理的配慮が始まったりして、とても理解は進んでいます。
まだ体制としては整っていない部分もありますが、一般的な例からみると恵まれていると思います。ハード面でも、26年前に相談室ができて、スクールカウンセラーの先生に週2回来てもらいました。
今はもっと発展していて、私の次の主任のときには相談室の隣の部屋をもう一つ教育相談部でもらうことができ、今はそこが生徒の居場所、自習室のようになっていて、相談支援員になってからは私もそこにいます。
スクールカウンセラーの先生が来てカウンセリングをしているカウンセリングルームと、生徒の居場所の2部屋があるという学校は珍しいとカウンセラーの先生からも言われます。スクールカウンセラーも、もともとは中高で1人だったのですが、今は中学校で1人、高校で1人、週3回は外部のスクールカウンセラーがみえています。
そして、教育相談部主任がスクールカウンセラーのスケジュール管理、調整をしています。生徒、先生方、保護者からの希望をまとめてスケジュールを管理して、つなぎます。教育相談部主任はほとんど縁の下の力持ちで、人と人とを“つなぐ”役割です。子どもたち同士、子どもと保護者の間、保護者と先生の間、先生と子どもをつなぐ助けが必要な場合もあります。
子どもたちも、言葉が整わなくて言えなくて困っている、自分でもなんだかわからなくて困っているという場合も多いので、そこを一緒にいて、なんだろうと考える。話してくれる子はすごくわかりやすいんですよね。
言えない子やあとは問題に気が付いていない子もいて、なかなか困り感がわからない場合もあるのですが、そこをなんとか引き出したり、波長を合わせたりします。共感ということもありますが、一緒に過ごす時間があると何かしらこう手がかりがあったり、サインを出してくれたりするので、言えている言葉の裏側にある気持ちや心について考えています。
一緒に時間を過ごすと考えると、教育相談部主任や教育相談部の先生方はかなり忙しいのではとも思いますが、いかがでしょうか?
自分が教育相談部主任だったときは、まだ今の自分の立場のような相談支援員がいなかったので、授業の合間の休み時間に相談室まで来て、誰かいるかな?と確認をしたりしていました。今思うと、すごく忙しかったです。教育相談部の分掌の先生方も担任を持っているので、まずは自分のクラスですよね。授業や他の仕事もあります。そのとき授業していた教室は校舎の向こう側の一番遠いところの4階、そこから降りてきて、相談室は反対側の1階の一番端で、職員室も向こう側の2階なので、その三角形を行ったり来たりして、結構鍛えられました(笑)。4階にダーッと昇って授業をして、休み時間になったら相談室に行って、その出席簿を職員室に戻さないといけないけれども遅れてしまって、「次の時間の先生、ごめんなさい!」という感じで、すごい勢いで自分が回っていましたね。
朝来て朝会がありますけど、朝早く来る生徒もいますよね。相談室で「おはよう」と言って、「ちょっと待ってね」と朝会に出て、また戻ってきて「今日どうする?」と相談をして、「私、1時間目授業だからちょっと自習していて」と言って、また戻ってきて「どうだった?」と声かけをして。
教育相談部主任になって、どのように活動を始められたのでしょうか?
教育相談部主任を校長先生から任せられたときに、具体的にはこれとこれをしてくださいというのはなくて、生徒指導はその前からの流れの積み重ねがありますが、教育相談は自分で作っていかなければいけないという使命感が大きかったです。
自分としてどうするかということが重くて、研修に出かけていきました。そこで出会ったのが、構成的グループエンカウンターの國分康孝先生ご夫妻主催の千葉県で行われていた合宿でした。
それより前に、群馬県の教育相談部会や群馬県の教育センターで行われていた教育相談技術認定というものがあり、その初級を取り、次に中級を取らせてもらったんですね。公立学校の先生方は初任者研修の中で教育相談初級の研修も行われていたのですが、私立学校は案内はあるのですが希望者ということでした。
希望して行ってみたら良くて、その後、学校の中で毎年誰かしら行ってくださいということで教育相談部としてお勧めしていて、今もそれを続けています。それはとても勉強になりました。
いろいろな専門の先生方、精神科医の先生や臨床心理士の先生、県の先生方などのいろいろな講座があって、そこで会った先生と知り合いになれたという良さもありました。精神科医の先生の研修では、こういうふうに精神的な病があって、それをこう見立ててこう対応するとよいと。まったく真っ白でしたから、そういう専門家の先生方のお話がすごく助かりました。学校教育相談学会にもその頃に入会しました。
構成的グループエンカウンターは、県の研修で知って、國分先生の合宿の研修に参加しました。皆さん全国からいらしていて、クラスが学級崩壊を起こしているという先生も涙ながらに語ったり、それぞれ自分の人生の課題に向き合うことができる研修でした。國分先生がとてもあたたかく、今、その後継者になっている先生方も一緒に参加されていました。体験を語る人や発表する人が大変な状況になったら支えるという体制ができていて、とても勉強になりました。そこで、構成的グループエンカウンターを自分でもやってみたいと思って、自分が教育相談部主任だったときにいくつかのことをやったのですが、構成的グループエンカウンターも大きな柱の一つでした。
教育相談部主任になって、自分が担任外になったというのはとても久しぶりのことでした。それまでは自分のクラスがあって居場所があったけれども、フリーで動ける分、自分の居場所がないというか、どうしたらいいんだろう、立ち位置はどこだろうという気持ちになりました。でも、研修会に出させていただく中で、自分は学校全体に目を配る立場にあること、教育相談部主任として全体の責任があるのだということを感じました。管理職とも話す機会が増えましたし、コース主任、学年主任が出る生徒指導部主催の主任会議にも出て、望ましい生徒対応について考える機会もありました。
教育相談に関連する会議は、どのような会議があるのでしょうか?
生徒指導部主催の主任会議は1時間なので、報告が主で、全校生徒、全コースのことなので、名前だけの共有という場合もあります。そこには、主任が中心に集まりますが、中高の養護教諭も出ています。以前は1人の養護教諭で中高1300名の生徒をみていましたが、今はそれぞれに養護教諭がいて2人になり、生徒のことで相談しあったり、すごく助かっています。
放課後は、部活があったり、学年やコースの会議が入ったりするので、生徒指導部主催の主任会議は時間割の中で時間が確保され、週1回行っています。教育相談部会や生徒指導部会、進路指導部会など公務分掌の会議は、放課後に行います。
その会議とは別に、事例研究の時間があり、今は校医になっている精神科医の先生をお呼びして、困難なケース、外部支援が必要なケースを中心に話し合っています。先生方が状況をお伝えすると、こういう見立てでこういうサポートが必要だと思います、このままいくとこういう困ったことが起きますねなど専門的なアドバイスをしてくださいます。
事例研究では、ケースごとにどのような対応をしていったらよいのか共通理解をしています。管理職、教育相談部の先生方、その生徒に関係する先生方が出席し、だいたい20人くらいです。事例研究は、放課後で、精神科医の先生がいらっしゃれる時間に行います。今は年間2回実施しています。自分が主任のとき、学期に1回で年3回やりたいなと思っていました。
ケース会議は、私の後の主任からだと思いますが、事例研究とは別に、必要に応じて行います。困難なケースが出たらすぐに、教育相談部主任が主になって行っていますね。
先生が教育相談部主任のとき、先ほどの構成的グループエンカウンターに加えて、さらにいくつか柱があったのでしょうか?
先生方の研修について力を入れていくことがありました。教育相談部以外の他の部も講師の先生を呼んで研修をしていましたが、私も、夜回り先生、水谷先生の講演会に自分が行ったことがあって、ぜひとお呼びしたときに奇跡的に連絡がついたんですね。ぜひと思っていると何かつながりができて、何回も来ていただいていて、生徒も先生方もすごい引き込まれた講演会でした。その後、3年に1度来ていただくのはどうかという話になり、中学3年間で1度お話を聞いた生徒が高校に上がってもう1度聞くといいのではないかということになりました。それも先生方の研修を兼ねていますが、それ以外にもアドラー心理学の先生に来ていただいたり、今年は夏休みにスクールカウンセラーの先生が研修をしてくださいました。教育相談部主任のときに研修をしたくてアピールしていたんですが、いろいろな部で取り合ってしまう。毎年はできなかったのですが、事例研究を研修の一環として、それと講演会が研修の機会になりました。
それから、不登校のお子さんの保護者の方に学校に来てもらおうと思って、「保護者の集い」というのを作りました。
今は1回お休みに入ってもネット上での連絡手段もあり、結構つながっていて、学内に居場所もあるので、ここだけでも来てみませんかということから始まって、だんだん教室に向かうというケースも多いのですが、当時は1回お休みに入ってしまうと、電話での連絡となると、なかなか大変ですよね。保護者の方と時間が合わないとお話しできないし、そうすると保護者の方と生徒と会えないまま時間が経ってしまう。
だからせめて本人が来られなかったら、保護者の方に来てもらおうと思って、「保護者の集い」を作ったんですね。各コースの先生に「欠席が多い人はいませんか?」と毎回聞きまわって、それも学期に1回やりたくて、通知を教育相談部として作って、校長先生の許可を得て出していました。自由参加で、20人くらいから少ないときは数名ということもあって、担任の先生も参加されたかったかもしれないのですが、保護者の負担も考えて、スクールカウンセラーと教育相談部主任が参加するということで、何かあれば質問も受けられますということで行いました。
まず保護者の方に自己紹介をしてもらって、そうするとその中で「こういうことに困ってるんです」と話が出てくるんですよね。なかなか起きなくてとか、学校に行かなくてどうしましょうとか、保護者同士の悩みの共有ができるんですね。他の方の話を聞いて自分の話も言っていいんだと思う保護者の方がいたり、話が盛り上がったり、会が終わったあとに保護者同士が友達になって、個人的に何か話して帰ろう、お茶を飲んで帰ろうということもあったと思います。
そうすると、その方たちのお子さんがそのあとで相談室に来たりすると、自然につながっていたりするんですよね。学年が違ったりするのですが、お母さんからのお話で知っていたりして。そうすると、人と会うのが嫌だと話していた子たちが、長期休みに2人で旅行行きましたみたいなすごいことが起こったりして(笑)。本当に“つなぐ”がキーワードですね。
あと、“居心地がいい”が自分の中のキーワードで、生徒が教室で居心地がいいと感じてくれるときのクラスは、すごくうまくいきますよね。勉強もみんな頑張るという感じだし、行事をやっても本当にまとまるし。担任をやっていたときも、心をつなぐということで、「心の音」は「心ノート」とも読めるので、学級日誌とは別に何でも書いていいよ、絵を描いてもいいし、というノートを作っていました。クラスの中を順に回していたのですが、毎朝出してもらって、私がちょっとコメントを書いて置いておいて、みんなが見ていいよというノートです。帰りに次の子が持って帰って書いてくる。自己開示できるし、他の子のことも知ることができるんです。誰かに偏って、誰かだけが書かないように一応順番は決めてあるんですが、書きにくい子は何日か持っていたりしますが、「無理に書かなくてもいいよ」、「絵でもいいよ」と。
そういう感じで一人一人と向き合ったり、個性がありますので、それぞれの生徒にとって学校が居心地がいい場所であってほしいなと。先生方もみんなそうだと思うんですが、居心地がいい場所だったら自分が出せますよね。そのような想いで活動していました。
先生ご自身がつらくなったり、大変になったりすることはありませんでしたか?
あります、あります。担任だったときとか、学年主任だったときとか。保護者の方も生徒もそうですが、ストレスがあると関係ない人に当たってきたりするんですよね。わーっと言われて、自分が悪いのかなと思うこともありました。そういうとき、やっぱり研修ですかね。情報を入れる、それをしないと自分がつぶれてしまうので。
教育相談部だったときはいろいろな案内もあるし、出張で行かせてもらっていました。今も個人的に毎年必ず研修の機会を入れています。今年も、新しいネタを仕入れたくて構成的グループエンカウンターの研修に行きました。
教育相談部のときも全校クラスで構成的グループエンカウンターを流行らせたくて、全クラスをまわりたかったんですが無理だったんです。40クラス近くあるので、1週間に1回でも回りきれない。担任の先生と生徒をつないで、居心地のいいクラスを作ってもらいたいので、担任の先生と生徒をつなぐプログラムを考えて、その当時も1年間で20~30クラスは回りました。
教育相談主任7年間の最初の1年間はまだ勉強中でしたが、研修会に行かせてもらったりして2年目くらいから自分なりに少しずつやろうと思って、希望のクラスを優先的にして、あとは声かけをさせてもらって。教育相談部主任だったときは、全体の時間割を見て、担任の先生があいていて、ロングホームルームや自習時間があれば使わせてもらうということもしていました。
今は、現在の教育相談部主任にお願いして案内してもらっていて、新入生がいるクラスを中心に回らせてもらっています。いろいろな行事や活動もありますが、年間予定表を4月に見て自由に使えそうな時間を少しピックアップして、「どうですか?」と提案して、現在の教育相談部主任がそのクラスに言ってくれて、回っています。担任の先生にも手伝ってもらって、いろいろワークをやった一番最後に担任の先生に「イエス、ノー、クエスチョン」をやるんです。グループで相談して担任の先生に1個ずつ質問ねと伝えると、普段は先生に聞くに聞けない質問が出てきます。担任の先生は、イエス、ノー、パスが選べて、でもだいたいイエス、ノーで答えてくれる。生徒は「そうだったんだ!」と。活動してみると、子どもは結構話したいので、見学に来た先生が「結構しゃべりたいんですね」と驚いて言ってくださったりします。シェアリングする時間があまりないので感想を書いてもらって、「楽しかった」とか、「みんなと話せてよかった」とか、「担任の先生のこんな面が見られました」とか、次の日にはすぐ印刷して配って。
10年以上続けてきて、今、それぞれの先生方もやっていると思うんです。担任の先生に取り入れてもらう。授業の一環でやるとか、1時間を使って改めてやらなくても、授業の中で少し取り入れるというのでも有効というのをこの間も研修で勉強してきました。新任の先生がわからない場合は自分がやってみせたり、学年が上がってクラスが変わってメンバーが違うと同じことをやってもまた効果があったり、1回やるとすごくいい感じですよね。これを続けていきたいなと思っています。
ずっと学び続けてらっしゃるんですね。
研修に行ったら自分が新しくなれます。新しい情報ももちろんですし、専門家の先生方も頑張ってらしたり、全国から先生方が来ていらして、同じ立場の人と共感できたりします。外部に出かけていくと、相談するという手段があることを知ることができるし、助けを求めることができる。それも大事な力なのだと思います。やはり“つながる”なんですよね。
先生がとてもパワフルに動かれているのが印象的です。責任感もってやらなきゃとは思うけれども、うまくいかない場合にはどうしたらいいでしょうか?
私は、管理職の先生もそうですが、同僚や先輩に理解してくださる先生も多かったので恵まれていたと思います。校長先生は、任命してくださるけれど、中身はある程度任されているのが良かったと言えばよかったし、反面、不安というか、これでいいのかなという気持ちもありました。だから考えなければならないし、あとは研修に行って勉強しないと、どういうものがあるのか学ばないと、と思いました。あとは、アドラー心理学などにも出会って、自分も勇気づけてもらったし、自分も勇気づけたし、そういう中で自分も悩みました。
こういうことなのかなという想像力、人の役に立ちたいという気持ち、これは教員の基本ですね。
教員同士も自分の責任の範囲でやっていたりするし、時間もなかったりするし、やっぱり抱え込んでしまいますよね。そうしたときになるべく自分が声をかけるようにしたかなと思います。教育相談部主任だったときは全体を見渡せるので、連絡はすごくしました。生徒についての話が出てきたときに、そこで言えることは言ったり、今度カウンセラーの先生に聞いておきますねと言って、聞いたことはお知らせして。押しつけではなく、自分が担任だったらこうするかなとか、一緒にどうしたらいいだろうと悩みました。わからないことも多いですよね。子どもたちが成長していくまでには時間がかかるので、結論がすぐに出なくて時間はかかりますよね。成長を見守る大人が、保護者の方はもちろん一番近くにいて、教員とスクールカウンセラーや専門家の方たちがいて、みんなで子どもたちを一人一人育てるという感じですかね。
共通認識というか、そのつながりがうまくできるとうまくいく。こういう場合はこうという正解がほしいですけど、正解はないので。一人一人の人生があるし、本人がどうしたいかというのもあるし、それに寄り添っていけたらいいですね。大人になって、卒業生から「助かった」とか、「お世話になりました」とか、「あんなに反抗してごめんなさい」とか言われることがあります。そういうつながりがすごく恵まれているというか、ありがたいです。
今後については、いかがでしょうか?

環境的には、キリスト教の学校で、ハード面も場所を作ってもらって、やっぱり一部屋あると違います。人の面でも、私が入職するより前から精神科医の先生は校医さんとしていらっしゃったんですよね。その方が亡くなられて空席だったときに、相談にのってもらえる精神科医の先生は必要だよねという声を先輩の先生方が上げてくださった。
教育相談部だけではなくて、違う分掌の先生方からも声があった。歴史的、文化的にそうした風土があったのもありがたいことですね。創立137年分の先人たちの志が流れてきているので、その中で教育相談をもっともっと進めていければと思います。
相談室も、あまり呼びこんではいけないんですが(笑)、悩んでいる場合には使ってもらいたいし、ある程度安心できたら出ていけると思うんですよね。きっかけがあるし、子どもたちの成長ぶりはすごいです。
最初はどうなるかと思った子どもたちも育ちますし、成長ぶりを見させてもらうことはすごいことだと思います。子どもたちが、今までこういうふうに過ごしてきましたとか、将来こういうふうになりたいと思いますとか、こういう目標がありますとか、人生を語ってくれるってすごいですよね。
自分は最初は足りないことばかりで教員に向いてないと思っていたんですけど、この場所にいて、これだけいろいろな人生を見させてもらえて、すごくいい仕事に出会えたと思います。これからも先生方や保護者の皆さんと協力して子どもたちの成長を見守る支援ができたらありがたいと思います。
※所属先・役職は原稿執筆時のものです。


