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公開シンポジウムの報告

第12回公開シンポジウム2022
ーハイブリッド型オンラインシンポジウムー
いじめ,自殺,不登校等の予防的取り組み

2022年6月25日(土) 13:00~16:00
会場 御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターRoom C

学校におけるいじめ、自殺、不登校等は相変わらず多発し、いじめを受けた子どもが死を選ぶという不幸な事態も続いています。そのような現状の中、本協議会ではこれらの諸問題に関する予防的援助に力点を置いた取り組みを強化し、予防的・開発的なガイダンスカウンセリングの取り組みについて会員間で共有するとともに、広く社会に対し予防的な取り組みの重要性を理解していただく機会として、シンポジウム「いじめ,自殺,不登校等の予防的取り組み」を開催しました。

 石隈利紀氏〔東京成徳大学教授・一般社団法人日本スクールカウンセリング推進協議会理事長〕より開会挨拶が述べられた後、川崎知己氏〔千葉商科大学准教授〕の全体司会のもと、講演およびシンポジウムが進められました。

柴山昌彦氏〔衆議院議員,元文部科学大臣〕


 講演では、柴山昌彦氏〔衆議院議員,元文部科学大臣〕より「ガイダンスカウンセラーに期待すること-現代の学校や子どもたちの問題や課題から-」と題して、いじめや不登校など子ども達が抱えている複雑化・多様化した諸問題の現状を踏まえ、スクールカウンセラー等がチーム学校の専門スタッフの一員として、教師、保護者、他の関係者、関係機関と連携しながら対応していくことの重要性を述べられ、ガイダンスカウンセラーによるさらなる貢献が期待されることが表明されました。

 続いて、小林雅彦氏〔文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室長〕よりいただきました講演「生徒指導の今とこれから」 では、児童生徒のいじめ、不登校、自殺等の諸課題の現状のほか、スクールカウンセラーが助言を行わなかったり、児童生徒に関する情報が学級担任と共有されなかったりするという課題も見受けられている現状を踏まえ、チーム学校に基づくスクールカウンセラー等の専門スタッフの活動のさらなる充実や、学校での効果的な活用の必要性が述べられました。

小林雅彦氏〔文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室長〕

 シンポジウムでは、諸富祥彦氏〔明治大学教授〕を司会として、各シンポジス卜より大変貴重なご発表をいただきました。藤田絵理子氏〔和歌山県立医科大学小児成育医療支援室主事〕より「SOS発信プロジェクトの実践-教育相談コーディネーターの立場から-」、藤原一夫氏〔茨城県取手市教育委員会〕より「組織を生かし二度と【不幸】なことを起こさない-SCスーパーバイザーのミッション-」、新井肇氏〔関西外国語大学教授〕より「学校における自殺予防の方向性と課題」、藤川章氏〔元公立中学校校長,文教大学・実践女子大学非常勤講師〕より「いじめ、自殺、不登校等の予防的取り組み-学校経営の立場から-」と題したご発表をいただき、自己理解・他者理解の促進、人間関係能力の育成、生きづらさを抱えている子ども達に対するSOSの出し方を促すための自殺予防教育、子ども達のボランティアシップに関わる態度や風土を醸成する学校の取り組みのほか、個々の学校の教育相談体制の充実のみならず、地域における多職種連携や教育総合支援センターが中心となって市全体としての学校を全面的に支援する教育相談体制の構築など、大変重要となる数々の活動が示されました。
 さらに、これらのご発表を受けて、指定討論者の石隈利紀氏〔前掲〕より指摘された、様々な悩みや困難を抱えている子ども達への寄り添いや関わり,コーディネーターの働き、チーム学校の進め方などに関して、また参加者からの質問も含めて、さらなる質疑応答やディスカッションが行われました。

全体討議の様子(右より 司会:諸富祥彦氏,指定討論者:石隈利紀氏,シンポジスト:藤田絵理子氏,藤原一夫氏,新井肇氏,藤川章氏)

 最後に、新井 邦二郎氏〔前東京成徳大学学長,一般社団法人日本スクールカウンセリング推進協議会研修委員長〕より閉会の挨拶が述べられ、盛会のうちに、本シンポジウムは終了しました。

 本シンポジウムでは、会場参加者70名、ライブ配信視聴者374名、計444名と、多くの方々にご参加いただき、内容について大変満足している、今後の活動や実践に向けて参考になる、来年度のシンポジウムへの期待などの感想を多くお寄せいただきました。

 ご登壇いただきました先生方、ご参加・視聴いただきました皆様、運営に携わってくださった関係スタッフの皆様に心より感謝申し上げます。本協議会では、引き続き、スクールカウンセリングのさらなる充実を目指して、様々な企画・活動を進めていきます。〔広報委員会〕